空の表情が刻一刻と変わり、遠くで低い音が響き始める。
七十二候では、春分の末候にあたる『雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)』を迎えました。
桜の季節を経て、いよいよ大地が本格的に目覚め、春が深まりを見せる頃。
この時期に鳴り響く雷は「春雷(しゅんらい)」と呼ばれ、古来より人々にとって特別な意味を持っていたようです。
そんな季節の変わり目を、筆文字で書いてみました。
『雷乃発声』
七十二候(しちじゅうにこう)とは、一年を二十四の季節(二十四節気)に分け、それをさらに五日ごとの「兆し」として細やかに名付けた暦のこと。気象の変化や動植物の動きなど、いにしえの人たちが感じ取った「季節の生きた音」が詰まっています。
立春から始まり、春の終わりを告げる穀雨まで。移ろいゆく春の表情を三つずつに分けた一覧です。
なぜ、いにしえの人たちは雷を「神鳴り」と呼んだんでしょうか。
それは、雷が単なる気象現象ではなく、神々の意思そのものだと信じられていたからです。稲光が走るたびに、神様が地上に語りかけている。そんな畏怖の念が「かみなり」という言葉には宿っています。
また、雷は別名「稲妻(いなずま)」とも書きます。これは、雷が多い年は稲が豊作になるという言い伝えから、雷が稲を実らせる「夫(つま)」であると考えられたことに由来するそうです。光と音の衝撃は、眠っていた大地を呼び覚まし、恵みをもたらす前触れでもあったんですね。
雷の音が聞こえたとき、思わず耳を塞いだり「おへそを隠して!」と笑い合ったりした経験はありませんか?
実は、その恐怖を退けるためにいにしえの人たちは、こう唱えていたそうです。
「くわばら、くわばら」
この不思議な響きを持つ言葉のルーツは、平安時代まで遡ります。
当時、非業の死を遂げた菅原道真公の怨霊が雷神となり、都に多くの雷を落としたという伝説がありました。…が、道真公の領地であった「桑原(くわばら)」という場所にだけは、一度も雷が落ちなかったんだとか。
そこから人々は、「ここは桑原ですよ(道真公ゆかりの地ですよ)」と唱えることで、雷の災いから逃れようとしたわけです。
『雷乃発声』の時期、雨上がりにはしっとりとした土の匂いが立ち込め、草木が一気に芽吹き始めます。
雷の音は、時には怖く感じることもあるかもしれません。
でも、それが神様からの合図だと思うと、少しだけ空を見上げる気持ちが変わる気がしませんか。
不安定な空模様が続く季節ですが、「くわばらくわばら」と心で唱えながら、移ろいゆく春の表情を楽しみたいものですね。
七十二候では、春分の末候にあたる『雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)』を迎えました。
桜の季節を経て、いよいよ大地が本格的に目覚め、春が深まりを見せる頃。
この時期に鳴り響く雷は「春雷(しゅんらい)」と呼ばれ、古来より人々にとって特別な意味を持っていたようです。
そんな季節の変わり目を、筆文字で書いてみました。
『雷乃発声』
春の七十二候一覧
七十二候(しちじゅうにこう)とは、一年を二十四の季節(二十四節気)に分け、それをさらに五日ごとの「兆し」として細やかに名付けた暦のこと。気象の変化や動植物の動きなど、いにしえの人たちが感じ取った「季節の生きた音」が詰まっています。
立春から始まり、春の終わりを告げる穀雨まで。移ろいゆく春の表情を三つずつに分けた一覧です。
| 二十四節気 | 候 | 七十二候の内容(読みと意味) |
|---|---|---|
| 立春(2/4頃) | 初候 | 東風解凍(はるかぜこおりをとく)/冬の氷を溶かし始める頃 |
| 次候 | 黄鶯睍睆(うぐいすなく)/山里で鶯が鳴き始める頃 | |
| 末候 | 魚上氷(うおこおりをいずる)/割れた氷の間から魚が跳ねる頃 | |
| 雨水(2/19頃) | 初候 | 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)/冷たい雪が暖かい雨に変わる頃 |
| 次候 | 霞始靆(かすみはじめてたなびく)/春の霞がたなびき始める頃 | |
| 末候 | 草木萌動(そうもくめばえいずる)/草木が芽吹き始める頃 | |
| 啓蟄(3/5頃) | 初候 | 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)/冬ごもりの虫が姿を現す頃 |
| 次候 | 桃始笑(ももはじめてわらう)/桃の花が咲き始める頃 | |
| 末候 | 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)/青虫が紋白蝶になる頃 | |
| 春分(3/20頃) | 初候 | 雀始巣(すずめはじめてすくう)/雀が巣を作り始める頃 |
| 次候 | 桜始開(さくらはじめてひらく)/桜の花が咲き始める頃 | |
| 末候 | 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)/遠くで雷が鳴り始める頃 | |
| 清明(4/5頃) | 初候 | 玄鳥至(つばめきたる)/燕が南の国からやってくる頃 |
| 次候 | 鴻雁北(がんきたへかえる)/雁が北へ帰っていく頃 | |
| 末候 | 虹始見(にじはじめてあらわる)/雨上がりに虹が見え始める頃 | |
| 穀雨(4/20頃) | 初候 | 葭始生(あしはじめてしょうず)/葦が芽を吹き始める頃 |
| 次候 | 霜止出苗(しもやみてなえいずる)/霜が降りなくなり苗が育つ頃 | |
| 末候 | 牡丹華(ぼたんはなさく)/牡丹の花が咲き誇る頃 |
「神鳴り」が呼び覚ます大地の生命力
なぜ、いにしえの人たちは雷を「神鳴り」と呼んだんでしょうか。
それは、雷が単なる気象現象ではなく、神々の意思そのものだと信じられていたからです。稲光が走るたびに、神様が地上に語りかけている。そんな畏怖の念が「かみなり」という言葉には宿っています。
また、雷は別名「稲妻(いなずま)」とも書きます。これは、雷が多い年は稲が豊作になるという言い伝えから、雷が稲を実らせる「夫(つま)」であると考えられたことに由来するそうです。光と音の衝撃は、眠っていた大地を呼び覚まし、恵みをもたらす前触れでもあったんですね。
「くわばらくわばら」とは?
雷の音が聞こえたとき、思わず耳を塞いだり「おへそを隠して!」と笑い合ったりした経験はありませんか?
実は、その恐怖を退けるためにいにしえの人たちは、こう唱えていたそうです。
「くわばら、くわばら」
この不思議な響きを持つ言葉のルーツは、平安時代まで遡ります。
当時、非業の死を遂げた菅原道真公の怨霊が雷神となり、都に多くの雷を落としたという伝説がありました。…が、道真公の領地であった「桑原(くわばら)」という場所にだけは、一度も雷が落ちなかったんだとか。
そこから人々は、「ここは桑原ですよ(道真公ゆかりの地ですよ)」と唱えることで、雷の災いから逃れようとしたわけです。
季節の音に耳を澄ませて
『雷乃発声』の時期、雨上がりにはしっとりとした土の匂いが立ち込め、草木が一気に芽吹き始めます。
雷の音は、時には怖く感じることもあるかもしれません。
でも、それが神様からの合図だと思うと、少しだけ空を見上げる気持ちが変わる気がしませんか。
不安定な空模様が続く季節ですが、「くわばらくわばら」と心で唱えながら、移ろいゆく春の表情を楽しみたいものですね。

筆文字『雷乃発声』(2026年 制作)






